
はじめに:ニトロ3ユーザーが、ニトロ4を買ってわかったこと

2025年7月にプーマから発表された「ヴェロシティニトロ4」。
当初は公式スペック情報で比較検討していました。
しかし元旦、楽天市場で定価の4割引(16,500円→7,990円)での販売を発見。ちゅうちょなく購入ボタンを押してしまいました。
そして実際に履いて走ってみて気づいたのは、「スペックの数字では見えない、実体験レベルの進化」です。
軽量かつ高い反発性で多くのランナーから支持されてきた「ヴェロシティニトロ」シリーズ。
前作であるニトロ3は、私自身が日頃のトレーニングに愛用している一足です。
ジョグ、ビルドアップ、テンポ走といった日常的なメニューのほとんどをこなすことができ、「レースシューズではないけれど、楽に走れる」安心感があります。
本記事では、ニトロ3の1年以上の実装経験と、ニトロ4購入後のカシオモーションセンサーによる計測データをもとに、両モデルの真の違いと選び方を、ランナー視点でお伝えします。
ヴェロシティニトロ3の魅力を振り返る
まずは、1年以上使ってきたヴェロシティニトロ3の特徴をおさらいしておきましょう。
クッション性と安定感のバランス

ミッドソールにはプーマ独自のNITROフォームを採用。クッションはやや控えめながらも、しっかりと地面を捉えて前に進む感覚が得られます。厚底に頼りすぎない接地感覚が、大きな魅力です。
ピッチ走法に相性の良い設計

私はピッチ180〜190spm前後の走りを意識しており、ストライドを広げすぎないフォームで走る際に、シューズの安定感や軽さがリズムを妨げない点も好印象です。
用途の広さ

・ビルドアップ走(6:00/km → 4:30/km)
・テンポラン(4:30/km前後)
・疲労抜きジョグ(6:30/km)
と、ほとんどのトレーニングで使える万能感がありました。実際、Garminのランニングワークアウトにもこのシューズをベースにメニューを組んでいます。
走りの基礎力を高めるシューズ
非厚底シューズだからこそ、自分の脚力やフォームの精度がそのまま走りに現れます。これにより、自分の本来の走力としっかり向き合える、貴重なトレーニングパートナーになるのです。
スペック比較|まずは基本データをチェック

ヴェロシティニトロ4

ヴェロシティニトロ3
| 項目 | ヴェロシティニトロ4 | ヴェロシティニトロ3 |
|---|---|---|
| 発売日 | 2025年7月17日 | 2024年2月1日 |
| 価格(税込) | 16,500円 | 14,300円 |
| 重量(27.0cm) | 約250g | 約264g |
| ミッドソール | フルレングスNITROFOAM | NITROFOAM + PROFOAMLITE |
| エネルギーリターン | 約85% | – |
| アッパー | エンジニアードメッシュ | エンジニアードメッシュ |
| フィット設計 | JAPAN FIT(日本人向け) | 標準設計 |
| ドロップ | 10mm | 8mm |
| アウトソール | PUMAGRIP | PUMAGRIP |
| 用途 | 初心者〜上級者まで全対応 | デイリートレーナー寄り |
ニトロ3からニトロ4への進化を掘り下げる

軽さの違いは意外と大きい
実測で約14gの軽量化は、短時間の試し履きでは気づきにくいものの、30分以上のテンポランやビルドアップでは明確に疲労感の違いが出ます。
ヴェロシティニトロ3で特に重いという印象はありませんでしたが、ニトロ4はより“足と一体になる感覚”が期待できます。
ミッドソール素材の進化がカギ

- ニトロ3: NITROFOAM + PROFOAMLITE(2層構造)
- ニトロ4: フルレングスNITROFOAM(単層構造)
ヴェロシティニトロ4では、ミッドソールが一体構造に刷新され、約85%のエネルギーリターンを実現しています。
PROFOAMLITEを使っていたニトロ3では「沈んでから戻る」感覚がありますが、ニトロ4では「蹴った瞬間に反発がくる」印象に変わります。
フィット感:JAPAN FITの効果

ニトロ4最大の変化のひとつが、日本人向けに最適化された「JAPAN FIT」設計です。特に甲回り〜前足部のゆとりとホールドのバランスが絶妙とされています。
ニトロ3で若干タイトに感じる場面もありますが、JAPAN FITなら長時間のロングジョグでもストレスが少なくなることが期待できます。
実体験データで検証|ニトロ4の性能と劣化シューズの差
衝動買いの理由:セール価格との偶然の出会い




元旦、楽天市場で定価16,500円のニトロ4が7,990円で販売されていることを発見しました。
定価の約4割引です。
正直に言えば、当時はディヴィエイト ニトロ4の発売を心待ちにしていました。
カーボンプレート内蔵の最新モデルが出るまで待つつもりでしたが、この割引率には即座に購入ボタンを押してしまいました。
しかし、この衝動的な購入がもたらしたのは、単なる「お得な買い物」ではなく、「ニトロ3の劣化に気づくきっかけ」だったのです。
違和感を数値で確認する必要があった

1月10日、ニトロ4が到着して、翌日初走行しました。
同時に気づいたのが、ニトロ3の変化です。「沈み込む感覚だけが残り、反発感がない」という違和感がずっとありました。
しかし「見た目はまだいけるのでは?」という曖昧な判断が続いていました。
その「違和感」が本当なのか、それとも気のせいなのか。
そこで意図的に複数ペース帯(4:30/km、4:15/km、4:00/km)で試走し、カシオモーションセンサーで計測してみました。
ペース4:30/km での走行データ
このペースはフルマラソンの目標ペースに近いペースです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| スティフネス(平均) | 0.43 kN/m・kg |
| 接地時間(平均) | 228ms |
| 着地衝撃(平均) | 29.1m/s² |
| ピッチ(平均) | 183 steps/min |
| ストライド(平均) | 1.26m |
このペース帯での走行は、「安定した反発」と「軽快な推進力」の両立を感じさせるものです。
特にスティフネスが0.43で安定しており、シューズが確実に反発力を返していることが注目ポイントです。
※ここで、聞きなじみのない「スティフネス」という指標について補足します。 スティフネスとは、一言で言えば「シューズのバネの強さ(剛性)」です。数値が高いほど着地エネルギーを効率よく反発に変えてくれますが、低すぎると「沈み込むだけで進まない」感覚になります。この数値の推移こそが、今回の検証のカギとなります。
ペース4:15/km での走行データ
さらに速いペースでは、シューズの反応性がより問われてきます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| スティフネス(平均) | 0.43 kN/m・kg |
| 接地時間(平均) | 225ms |
| 着地衝撃(平均) | 30.5m/s² |
| ピッチ(平均) | 186 steps/min |
| ストライド(平均) | 1.29m |
スティフネス以外の値は、ペースアップに比例して若干向上しています。
これは、より高速な走行では、シューズの反発性をフルに活かすには、ランナー側の脚力が必要になることを示唆しています。
ペース4:00/km での走行データ
さらに速いペースでのニトロ4の反応を見てみます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| スティフネス(平均) | 0.46 kN/m・kg |
| 接地時間(平均) | 213ms |
| 着地衝撃(平均) | 34.7m/s² |
| ピッチ(平均) | 185 steps/min |
| ストライド(平均) | 1.36m |
ここが驚くべき点です。
ペースが4:00/kmに上がると、スティフネスは0.43から0.46へと向上しているのです。
これは、より高速な走行域で、シューズの反発力がさらに高まることを示しています。
ニトロ4が「最適なペース帯」を持つことの意味
ニトロ4のデータを分析すると、以下の傾向が見えてきます。
ペース4:30/kmから4:15/kmまで、スティフネスが0.43で安定し、さらに4:00/kmで0.46へと向上する。
つまり、ハーフマラソンのレースペース(多くの市民ランナーにとって4:15~5:00/km)だけでなく、スピード走のペース(4:00/km前後)でも、ニトロ4は高い反発性を維持できるのです。
これは、デイリートレーナーという位置づけでありながら、スピード走にも対応できる「汎用性の高さ」を示しています。
「特定のペース帯で最高の効果を発揮する」だけでなく、「幅広いペース帯で安定した性能を発揮する」という、より優れた設計といえます。
ニトロ3の現状:見た目と性能のギャップ

ニトロ3は購入から約1年4ヶ月、月間180kmペースで800km以上を走り込んでいます。
見た目の状態は良好です。
- アッパーに目立つダメージなし
- ソール表面の減りはごくわずか
- 全体的には「まだまだ使える」という印象
しかし、実走してみると、明らかに違う。「沈み込む感覚だけが残り、反発感がない」という状態です。
ヴェロシティニトロ3:在庫限定の掘り出し物
ここで、ニトロ3についてもう一度、冷静に評価し直す必要があります。
なぜニトロ3の完成度は高いのか
ニトロ3がここまで多くのランナーに支持されてきた理由は、実は「特別な機能がないこと」にあります。
厚底でもなく、カーボンプレートでもなく、ただ「正しく走れるシューズ」。
この地味だけど堅牢な設計は、実は非常に高度な技術です。
クッション性と安定感の両立

ミッドソールのNITROフォームは、衝撃吸収と反発のバランスが絶妙。
ふわっとした着地感がありながら、グラつきやブレが少ないのは、この素材選定と層構造があるからです。
足全体をホールドするアッパー設計

足全体をしっかりホールドしてくれるエンジニアードメッシュアッパーのおかげで、無理にペースを上げる必要なく、リラックスしたフォームで長く走り続けることができます。
800kmの耐久性を実現するアウトソール

プーマ独自の高耐久ラバー「PUMAGRIP」は、1年4ヶ月・800km走ってもミゾがしっかり残り、グリップが落ちない。この耐久性の高さは、実際に使い込んでわかる品質です。
ニトロ3が「型落ち」である理由と価値
プーマ公式ではニトロ3が在庫切れになりました。これは単なる「新型が出たから」ではなく、市場がニトロ4へシフトしている証拠です。

しかし、だからこそ
という状況が生まれています。
「走りの基礎力」を高めるシューズとしてのニトロ3
ニトロ3を使い込んでわかったことの一つが、このシューズの本来の価値です。
非厚底だからこそ、自分の脚力やフォームの精度がそのまま走りに現れます。
むしろ、これから走力を高めたいランナーにとっては、ニトロ3で「走りの基礎」を固めてから、次の一足へ進む流れの方が自然だと感じています。
いきなり反発系の厚底に頼るより、自分の脚で正しく走る感覚を身につける——そういった意味でも、ニトロ3は理想的な「トレーニングパートナー」なのです。
ニトロ3を選ぶ価値がある場合

型落ちという言葉に惑わされがちですが、逆に言えば今は「完成度の高い信頼できる一足が、非常にお得に手に入るチャンス」でもあります。
✅ フォーム改善や故障予防に注力したい方
ニトロ3の非厚底設計は、正しいフォームへの道しるべになります。
✅ 自然な走りを身につけたい方
シューズの性能に頼りすぎず、走力そのものを鍛えたい方に最適です。
✅ 走力の土台を作りたい方
初心者~中級者で、「速くなるための基礎」を固めたいなら、ニトロ3は理想的な選択肢です。
✅ コストパフォーマンスを最優先にしたい方
定価14,300円が、さらにセール価格で手に入る可能性があります。限定販売のため、在庫があるうちの選択が重要です。
✅ ジョグとベース作りがメインの方
日々のジョグやLSD、フォーム調整、リカバリーといった用途に最適化されています。
スティフネスで見る劣化の実態
2025年11月23日のベース走(ペース4:54/km)で計測したニトロ3のデータと、ニトロ4の初走行(ペース4:40/km)のデータを比較してみました。



| 指標 | ニトロ3 | ニトロ4 |
|---|---|---|
| 計測日 | 2025/11/23 | 2026/1/10 |
| ペース | 4:54/km | 4:40/km |
| スティフネス | 0.38~0.40 | 0.41~0.42 |
| 接地時間 | 236~254ms | 229~231ms |
| 着地衝撃 | 27.4m/s² | 30.5m/s² |
一見すると「似ている」と思うかもしれませんが、ここに落とし穴があります。
ニトロ4はより速いペース(14秒/km短縮)で、ほぼ同等かやや高いスティフネスを示しているのです。
つまり、同一ペース帯で比較するなら、ニトロ3の劣化はさらに明確になることが推察できます。
その疲れ、シューズのせいです


多くのランナーが経験したことがあるはずです。
「このシューズ、何か重い気がする」「走っていて反発を感じられない」「同じペースで走ってるのに、疲れやすい」
こうした「違和感」は、決して気のせいではなく、シューズの内部性能劣化を、ランナーの体が正しく捉えているのです。
スティフネスの低下 = 反発感の喪失
新しいシューズのスティフネスが0.43なのに対し、800km以上使い込んだシューズは0.38~0.40を示しています。この差が、「ぐっと返ってくる」と「ふわっと沈む」の違いを生み出しているのです。
接地時間の延長 = 疲労の蓄積
スティフネスが低下すると、足が地面に接地してから反発するまでの時間が長くなります。
接地時間の増加に比例して、ランナーのエネルギーロスも増加していきます。
同じペースを維持するために、より大きな筋力を要求されるようになるのです。
実際にどちらを選ぶべきか?選び方の判断基準
ニトロ4を選ぶべきランナー(推奨)

✅ 反発性や軽さにこだわる方
アップデートされたNITROFOAMにより、約85%のエネルギーリターンと約14gの軽量化を実現しています。
✅ ジョグ~テンポ走~レースまで幅広く対応したい方
走力に応じて幅広く活用できます。スピード走にも対応できる汎用性の高さが特徴です。
✅ 足に合うシューズが見つかりにくい方
甲高・幅広といった日本人特有の足型に合った設計を重視する方に最適です。JAPAN FIT設計により、長時間のランニングでもストレスが少なくなります。
✅ シューズの性能を数字で把握したい方
エネルギーリターン85%という公表値は、反発力の裏づけとして安心材料になります。
✅ ハーフマラソン90分切りなど、明確な目標を持つ方
新しいシューズへの交換は、単なる「気分的なリフレッシュ」ではなく、実際のランニング効率を改善するための投資です。
✅ 故障を予防したい方
新しいシューズに交換することで、走行効率が向上し、疲労が減少し、故障リスクが低減します。
✅ プーマの最新設計を試したい方
ニトロシリーズの「完成形」に近づいた一足として、シリーズ史上もっとも万能なデイリートレーナーが欲しい方に最適です。
ニトロ3:在庫がある場合の選択肢

在庫限定であることの重要性
プーマ公式では既に在庫切れ。楽天市場やAmazonなどでの限定販売のみ。サイズによっては入手困難になる可能性があります。
この状況を踏まえて、ニトロ3検討の価値を判断してください。
選択基準:ニトロ3が活躍する場面
✅ 予算を優先したい場合
セール価格で手に入れば、1万円を切る可能性も。コストパフォーマンスは圧倒的です。
ただし、在庫に限りがあるため、見つけたら即決の判断が必要です。
✅ フォーム改善に注力したい場合
走力を高めたいなら、ニトロ3で「走りの基礎」を固めてから、次の一足へ進む流れが自然です。
いきなり反発系の厚底に頼るより、自分の脚で正しく走る感覚を身につけることが、長期的な走力向上につながります。
✅ ジョグとベース作りがメインの場合
日々のジョグやLSD、フォーム調整、リカバリーといった用途に最適化されています。
テンポ走やスピード練習が必要ない、純粋にベース走力を築きたいランナーなら、ニトロ3で十分です。
✅ 故障予防を最優先にしたい場合
ニトロ3の安定感と接地感覚は、正しいフォーム習得を促します。
結果として、走行距離が伸び、ケガのリスクが減る——このサイクルが構築できれば、ニトロ3の価値は大きいです。
✅ 複数足でローテーションできる場合
すでに高反発系のシューズを持っていて、「低負荷走専用」として配置できるなら、ニトロ3は優秀なサブシューズになります。
リカバリー走・疲労抜きジョグ用として活躍します。
✅ ニトロシリーズの完成度を信頼している場合
実装実績が豊富で、設計の「基礎」がすでに完成していたのがニトロ3。
新型が出た今だからこそ、「完成度の高い信頼できる一足が、非常にお得に手に入るチャンス」として活用できます。
ニトロ3の限定販売が終わる前に
在庫がある限り、ニトロ3は「選べる選択肢」です。
なくなる前に、自分の走行スタイルと照らし合わせて、判断する価値があります。
現役3ユーザーとしての結論|主軸はニトロ4、ニトロ3は在庫限定の選択肢
ニトロ4が主軸になる理由

データで証明された性能差、JAPAN FIT設計による快適性、約85%のエネルギーリターン——これらは単なるスペックの差ではなく、実走での「体感差」に直結する進化です。
特にハーフマラソン90分切りのような明確な目標があるなら、シューズの効率性は無視できません。
「新型が出たから乗り換える」ではなく、「性能劣化したシューズから新しいシューズに交換する」という、必然的な流れがニトロ4への移行を正当化します。
ニトロ3の位置づけ:完成度の高い掘り出し物

一方で、ニトロ3がなくなる前に手に入れることができるなら、その価値は十分にあります。
在庫切れになるモデルは、その後プレミア化する可能性もあります。逆に、今のセール価格での入手が「最後のチャンス」かもしれません。
ニトロ3で「走りの基礎」を固めるという選択肢は、まだ有効です。
まとめ|価格差に見合う価値はあるのか?
結論として、ヴェロシティニトロ4には価格差2,200円分の価値は十分にあると考えます。
- 高反発&高クッションのアップデート
- 約14gの軽量化
- JAPAN FITによる快適なフィット感
- 明示されたエネルギーリターン性能
これらは単なるスペックの差ではなく、実走での”体感差”に直結する進化です。
ニトロ3のコスパの良さも依然魅力ですが、少しでも快適に、効率よく、そして楽しく走りたいなら、ニトロ4へのアップグレードは有力な選択肢です。



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