第1回で予告した答えが、出た

前回の記事の末尾に、こう書きました。
「トレッドミルを使う機会が多いランナーにとっては、この点だけでCOROS PACE 4(カロス ペース 4)を選ぶ理由になりえます」
セットアップ中に感じた予感が、実際に走ってみて確信に変わりました。
第2回は、COROS PACE 4での初ランレポートです。場所はトレッドミル。
Garmin 265を2年使い続けてきた人間が、初めてCOROSで計測してわかった「思想の違い」をお伝えします。
トレッドミルを選ぶと、Garminにはない入力画面が出てきた
ランニングモードを起動しようとアクティビティメニューを開くと、「ラン」と「トレッドミル」が独立して並んでいます。
Garminにも同様のメニュー分けはあるので、この時点では特に違和感はありません。
トレッドミルを選んだ次の瞬間、明らかに違う画面が現れました。
速度(時速)と傾斜角を入力する画面です。


Garminに慣れた身には、これは「手間」に感じます。
Garminはトレッドミルモードを選んだらそのままスタートボタンを押すだけ。
数値を入力するという概念がそもそもありません。
「なぜわざわざ数値を入れなければならないのか」という違和感は、Garminユーザーなら誰もが感じるはずです。
ただ、この画面で少し立ち止まって考えてみました。
トレッドミルで走るとき、自分はいつも「今日は時速10kmで、傾斜1%で走る」という前提を持ってスタートしています。
その前提をデバイスに伝えるだけの話です。
言われてみれば当たり前のことを、Garminはずっとやっていなかった。
そう気づいた瞬間、この「手間」の意味が変わりました。
Garminは「事後補正」、COROSは「事前入力」:トレッドミル設計の決定的な違い


Garminのトレッドミル計測は、加速度センサーで腕の動きや歩幅を推計しながら距離を計算する仕組みです。
屋外ならGPSで正確に測れますが、GPSの届かない室内では推計に頼るしかない。
走り終えてトレッドミルの表示距離と大きくズレていた場合、手動で距離を補正する仕組みが用意されています。
つまりGarminの設計思想は「走ってみて、ズレたら後で直す」です。
2年間これを使い続けてきた自分は、正直なところこの補正を面倒だと感じながら半ば諦めていました。
補正しても次のランでまたズレる。
毎回ゼロから推計が始まるからです。「トレッドミルのログはだいたいこのくらい」という温度感で付き合ってきました。
COROS PACE 4は逆の発想です。




トレッドミルの速度と傾斜という「前提条件」を走る前に入力することで、走行中の計測数値がトレッドミルの実態とリンクします。
推計の精度を上げるのではなく、推計の前提そのものを正しくする。
根本から違うアプローチです。
実際に2回走ってみて、この違いは数値として明確に感じました。
走行中のペース表示がトレッドミルのパネルと一致している安心感は、事後補正では得られないものです。
「終わってから帳尻を合わせる」Garminと、「最初から正しいデータで走る」COROS。
どちらのログが自分のトレーニングの実態を正しく反映しているか、答えは明らかです。
この設計の差はEvoLabへの反映にも直結します。
走力の評価や次のトレーニング提案は、正確なデータがあってこそ機能します。
「だいたいこのくらい」のログを積み上げても、精度の高いフィードバックは返ってきません。
トレッドミルを週に何度も使うランナーにとって、この差は時間が経つほど大きく開いていきます。
固定設定の使い勝手:走行中も変更できる
事前設定は固定で保存されます。
ただ、走行中でも変更できることがわかりました。
アクティブモード中にスクリューボタンを押すと、一時停止・スピード・傾斜などのメニューが表示されます。
タッチでスクロールしてタップで選択、保存確認画面は出ないのでスワイプするだけで計測画面に戻れます。
事前設定と同じ要領です。
慣れれば走りながら変更できます。
ただしペースが速い場合は、ローラーの両サイドに足を逃がしながら操作する必要が出てくるかもしれません。
安全のため、変更する際は一度ペースを落とすか止まってから操作することをおすすめします。
ここで正直に書いておくと、この操作を把握する前に走った初回の履歴に、実測と合わない数値が残っています。
事前設定の意味を理解せずにスタートしてしまったことが原因です。
「事前に正しい前提を入力する」というCOROSの思想は、使い方を理解してこそ機能します。
逆に言えば、この記事を読んでから走れば同じ失敗は防げます。
なお、マイメニューでトレッドミルのカスタム設定を作成した場合にデバイス側へ反映されるかどうかは、まだ確認できていません。
次回走るときに検証します。
走り終えてアプリを見ると、ここでも思想の違いが見えた

走り終えてCOROSアプリを開くと、データはほぼリアルタイムで同期されています。
同期のスピード自体はGarminと大きな差は感じませんでした。
違いが出るのはデータの「見せ方」です。
Garmin Connectは情報量が豊富です。
その分、目的のデータにたどり着くまでのタップ数と画面遷移が多い。
「あのグラフはどこだったか」と迷う場面が2年使っていてもありました。
COROSアプリはシンプルです。
1画面で主要な指標がひと目で入ってくる。
ペース・心拍・ピッチが縦に並んでいて、スクロールすれば完結する。
Garminに慣れた目には最初「物足りない」と感じるかもしれませんが、使ってみると「必要なものがここにある」という感覚に変わります。
盛りだくさんなGarminと、削ぎ落としたCOROS。
どちらが優れているかではなく、設計の思想がトレッドミルの計測方法と同じく一貫しています。
「前提を正しく設定して、必要なものだけ見る」というCOROSの姿勢が、アプリにも表れています。
ひとつだけ、まだ検証できていないこと
ひとつだけ未確認が残っています。
マイメニューでトレッドミルのカスタム設定を作成した場合、デバイス側に反映されるかどうかです。
これは次回のトレッドミルランで確かめます。
週に何度もトレッドミルを走るなら、この時計はかなり魅力的
2回走った段階での結論です。
「適当な補正を繰り返すか、最初の一手間で信頼できるログを残すか」。
この問いに対するCOROSの答えは、設計そのものに込められています。
自分のトレーニングパターンは、平日週4回がトレッドミル、週末の土日が屋外ランです。
つまり週6回のトレーニングのうち、4回がトレッドミルという計算になります。
トレッドミルは「たまに使う補助的な手段」ではなく、トレーニングの主戦場です。
この頻度で使うとなると、ログの精度は切実な問題になります。
毎回のデータが正確であることが、EvoLabの精度にも、長期的なトレーニングの質にも直結するからです。
迷っているなら、一度だけ自分に問いかけてみてください。
「Garminのトレッドミルログを、本当に信頼して使えていたか」と。
自分の答えは正直、NOでした。
補正を忘れた日のログ、面倒でそのまま放置したズレ。
2年分の積み重ねの中に、信頼できないデータがどれだけ混ざっているか。考えると少し憂鬱になります。
週4回トレッドミルで走るランナーにとって、ログの精度は週2回の屋外ランより遥かに重要な問題です。
COROS PACE 4はその問いに、仕組みで答えを出しています。
道具が正しく設計されていれば、使う側が気を遣う必要がなくなる。
それがこの2回のトレッドミルランで実感したことです。
次回は初の屋外ランへ。
トレッドミルとは違い、事前入力のない「ガチンコ」の計測です。
ランニングレベルテストという、またCOROS特有の体験が待っています。
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Garmin 265ユーザーによる、カロス ペース4への乗り換えレビュー全5回。初期設定から1ヶ月使い込んで見えてきた「本音」をまとめています。
第1回:開封・セットアップ編
第2回:(本記事)トレッドミル初ラン編
第3回:屋外初ラン編
第4回:使い込んで気づいたこと編
第5回:1ヵ月総括編




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