Runmetrix(カシオ モーションセンサー)のデータを使ってフォームを改善する手法で、56歳でハーフマラソン・サブ90を達成しました。なぜ既存のアプリだけでは限界があるのか、どうやってその壁を超えたのか、そしてこの手法を読者に届けるために何を作り始めているのか、を書いています。

48歳で走り始めた私が、56歳でサブ90を取るまで
最初は400mも走れませんでした。
48歳のとき、「健康のために」と走り始めた私は、ゆっくりでも400mで足が止まりました。
呼吸より先に脚が悲鳴を上げる状態で、「もう歳だから仕方ない」と思っていました。
それから8年。
2026年3月14日のレースで、ハーフマラソンを1時間29分59秒(ネットタイム)で走り切りました。
56歳でのサブ90達成です。
「根性を出した」わけではありません。
トレーニング量を急に増やしたわけでも、高価なシューズに頼ったわけでもありません。
変わったのは「走り方をデータで見る」ことを始めたからです。
具体的な記録はこちらの記事に全データを公開しています。
この記事ではもう少し手前の話、つまり「なぜデータで変われたのか」と「その手法をどう届けようとしているか」を書きます。
ランニングウォッチとアプリだけでは、課題が見えてこなかった

ランニングを続けていると、自然とデータは増えていきます。
GarminやCOROSのウォッチをつければ、ペース・心拍・距離・VO2Maxがリアルタイムで出ます。
走り終わればスマホアプリが自動同期し、デスクトップでグラフを見ることもできます。
データは十分あります。問題はその先でした。
数字を眺めても、「何が悪いのか」「何を改善すればいいのか」が分からなかったのです。
「今日は心拍が高かった。疲れているのか、ペースを上げすぎたのか。」
「タイムが頭打ちだ。練習が足りないのか、フォームが悪いのか。」
ウォッチのアプリが教えてくれるのは「何が起きたか」です。
「なぜ起きたのか」「どう直すか」は教えてくれません。
これはGarminやCOROSが劣っているという話ではありません。
そもそも設計の目的が違うのです。
ウォッチは「記録するツール」であり、「課題を見つけるツール」ではありません。
私がこの限界を実感したのは、ある時期から明確にタイムが伸び悩み始めたときです。
練習はこなしていた。
でも何も変わらなかった。
「何かが間違っているはずだ」という感覚だけがあって、その「何か」が分からなかった。
Runmetrixのデータを見続けたら、改善の近道が見えてきた

2025年8月、カシオ モーションセンサーとRunmetrixを導入しました。
Runmetrixはランニングパンツの背面に装着したセンサーから、接地時間・上下動・左右方向衝撃・骨盤の傾きなど約30項目のフォームデータをリアルタイムで計測するアプリです。
ウォッチが「どれだけ速く走ったか」を記録するのに対し、Runmetrixは「どんなフォームで走ったか」を記録します。
導入してすぐ、見覚えのない数字が並びました。
最初に驚いたのは左右差です。
同じ動作のはずなのに、右足と左足でまったく違う数値が出ていました。
特に着地衝撃差は+2.82 m/s²。
右脚が左脚より大きな衝撃を毎歩受け続けていたことが、数値として見えた瞬間でした。
「疲れのせいだと思っていた右膝裏のハリ」に原因があった。
そのことがデータで分かった瞬間でもありました。
9ヶ月でどれだけ変わったか、主要指標を表にまとめます。
| 指標 | 開始時(2025年8月) | 現在(2026年5月) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 着地衝撃差(L-R) | +2.82 m/s² | ±0.0 | 完全解消 |
| ピッチ | 172 spm | 184.8 spm | +12.8 spm |
| 上下動 | 8.81 cm | 7.80 cm | −1.01 cm |
| 平均ペース | 5:39/km | 5:08/km | 31秒改善 |
数値が変わるたびに、身体の感覚も変わりました。
「今日は調子がいい気がする」という感覚が「今日は衝撃差がゼロに近い」という確信に変わっていく。
その繰り返しがフォーム改善を加速させていきました。
Runmetrixがなければ、この改善は起きなかったと確信しています。
感覚だけでは、何が問題だったのかすら気づけなかったからです。
この手法を届けたくて、分析ツールを作り始めた

9ヶ月のデータを積み重ねながら、あることを考えるようになりました。
「この手法、自分だけで使っておくのはもったいない」という感覚です。
Runmetrixのデータで課題を見つけ、フォームを直し、またデータで確認する。
このサイクルを回し続けることで、56歳でサブ90を達成できました。
同じようにタイムが伸び悩んでいる方は多いはずです。
「年齢のせいだ」と諦めている人にも、まずデータを見てほしいと思いました。
ただ、ここで一つ問題がありました。
Runmetrixのデータは豊富です。
しかしその30項目を前にして、「どこから手をつければいいか」「どの数値を優先して改善すべきか」は、データを見続けてきた自分でもしばらく悩みました。
初めて使う人にとっては、なおさらです。
「課題を発見するだけでなく、次のアクションまで示せるツールがあればいい」
そう考えていたタイミングで、AIを活用することを思いつきました。
Runmetrixのデータを入力すれば、課題と改善アクションを整理して出力してくれる——そういうツールをAIで作り始めています。
まだ制作途中です。
このブログで発信していくこと
このブログでは引き続き、Runmetrixの実データをもとにしたフォーム改善の記録を書いていきます。
シューズ別のデータ比較、9ヶ月の変化の詳細、レース本番のデータ分析——それぞれ個別記事で公開しています。
柱となる記事は以下からどうぞ。


またAIを使ったツール開発の話も、進み次第ここで書いていきます。
「データはあるのに何をすればいいか分からない」と感じているランナーに届けたい内容です。
50代でも、フォームは変わります。データがあれば、確信を持って変えられます。
この記事で使ったアイテム
カシオ モーションセンサー(Runmetrix) シューズに装着するだけで約30項目のフォームデータを計測。「感覚」を「数値」に変えてくれた、9ヶ月の相棒です。
PUMA プロピオニトロ 骨盤主導のフォームを身につけるために使い始めたシューズ。薄底ならではの接地感がフォームの改善を加速させてくれました。
アディゼロ ボストン13 右足のブレーキ問題を「見える化」してくれたシューズ。着地のズレに正直に反応するため、フォーム改善の状況がデータに素直に出ます。
COROS PACE 4 ペース・心拍・ラップをリアルタイムで確認するために使用。軽量設計でランニング特化の使いやすさがあります。



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